コラム | 公開日: 2026-10-31 | 執筆: 運営者 こすけ

運用保守の現場で pwd を何度も打つ理由

pwd は「今いる場所を表示するだけ」の地味なコマンドですが、運用保守の現場では作業前の証跡取り、rm・mv の直前、sudo・su・cd の後と、一日に何度も使います。現場で教わった pwd の習慣を紹介します。

pwd は「一番地味で、一番よく打つ」コマンド

こんにちは、コマンド学習道場を運営しているこすけです。
今回のテーマは、ちょっと地味な pwd コマンド。

pwd(print working directory)は、今いるディレクトリを表示するだけのコマンドです。
このサイトでも初級の「基本操作(移動・確認)」で早々に登場するので、知っている方も多いはず。
覚えるのに苦労するようなものでもないですよね。

ところが運用保守の仕事に就いてからは、ls や cd と同じくらい打つコマンドになりました。
一日に何回打っているか、自分でも数えきれないくらいです。

そうなったのは、現場の手順や先輩に「作業の前は pwd で場所を確認すること」と教わったから。
正直なところ、最初は「プロンプトに出てるのに、わざわざ打つ意味ある?」と半信半疑でした。
それが今では、考えるより先に指が動いています。

そんな私が pwd を打つのは、主に3つのタイミング。

作業前の証跡取り

運用保守の作業では、「いつ・どこで・何をしたか」を後から確認できるよう、作業ログを残すのが基本です。
いわゆる証跡(エビデンス)というやつですね。

私の場合、作業に入る前にまず pwd を打って、その結果もログに残しています。

$ pwd
/var/log/app

「場所ならプロンプトに出てるでしょ?」と思った方もいるかもしれません。
実は私も、最初は同じことを考えていました。

ただ、プロンプトの表示は設定次第で、~ だけだったりディレクトリ名の末尾だけだったり。
これだとフルパスがわからないんです。

その点、pwd の出力がログにあれば、どこで作業したかは一目瞭然。
あとでログを見返したときに「これ、どのディレクトリでやったんだっけ?」とならずに済みます。
見返すのが未来の自分だったりするので、なおさらありがたいところです。

ちなみに、証跡に何を残すかは現場の手順書や運用ルール次第。
日時やホスト名もセットで記録する決まりの現場もあるので、まずは自分の現場のルールを確認しておきましょう。

rm・mv などの前の最終確認

2つ目のタイミングは、ファイルを消したり動かしたりする直前です。

削除の rm も、移動・名前変更の mv も、一度実行したら簡単には戻せません。

なかでも怖いのが、rm *.log のようなワイルドカード(* などで複数のファイルをまとめて指定する書き方)や相対パスを使うとき。
今いるディレクトリが違えば、消える対象もまるごと変わってしまうからです。

なので私は、いつもこの流れで実行しています。

$ pwd
/home/user/work/tmp
$ ls *.log            # 消す前に、対象ファイルを一覧で確認する
$ rm *.log

同じ rm *.log でも、場所を間違えれば必要なログまで消えかねません。
想像するだけでヒヤッとしますよね。

だからこそ、消す・動かす・上書きする前は pwd で場所を確かめ、できれば ls で中身も見てから実行。
この3ステップは、もう完全に体に染みついています。

Windows のごみ箱と違って、rm で消したファイルはあとから戻せません。
「たぶんここにいるはず」で実行するのだけは、やめておきましょう。

sudo・su・cd の後

3つ目は、ユーザーを切り替えたり、ディレクトリを移動したりした直後です。

意外と知られていないのが、ユーザーを切り替えると、コマンドによってはカレントディレクトリ(今いるディレクトリ)まで変わってしまうこと。

$ pwd
/var/log/app
$ sudo -i              # root のログインシェルに切り替える
# pwd
/root                      # root のホームディレクトリに移動している

/var/log/app にいたはずが、sudo -i のあとは /root に。

sudo -i や su - は切り替え先ユーザーのログインシェルを起動するので、そのユーザーのホームディレクトリに移動するんです。

一方で、- を付けない su なら、元のディレクトリのまま。

とはいえ、どれがどっちの動きだったかを毎回思い出すのは正直面倒です。
そこで私は、切り替えたらとりあえず pwd。
これが一番確実で、気持ちもラクなんですよね。

cd の後も考え方は同じです。
cd -(直前にいたディレクトリへ戻る)を何回か使ったり、cd .. を重ねたりしていると、頭の中の「今ここ」と実際の場所が少しずつずれてくるもの。

移動が続いたら、一度 pwd で現在地をリセット。
そんな感覚で使っています。

「確認してから実行する」習慣の第一歩

3つのタイミングに共通するのは、「思い込みで操作せず、確認してから実行する」という考え方です。

pwd なら、その確認はたった3文字。
一瞬で終わるので、面倒くささもほとんどありません。
本番環境のサーバーを触る運用保守では、こういう小さな確認の積み重ねが大事だと実感しています。

これから Linux を勉強する方も、練習のうちから「cd したら pwd」「rm の前にも pwd」をクセにしてみてください。
練習用ターミナルなら本物のサーバーを壊す心配もないので、気軽に何度でも試せますよ。

この記事を書いた人:
こすけ(コマンド学習道場 運営者)。
AWSの運用保守に携わるエンジニアで、保有資格はCCNA・AWS-SAA・LPIC-2。
詳しくは運営者情報をご覧ください。

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